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2005年9月 7日 (水)

銀山温泉の朝

9月6日(火):4日目
銀山温泉で朝を迎える。曇ってはいるが雨は降っていない。
その朝、事件は起こった。出発を前に僕らは部屋中にばらまいて干していた荷物をまとめにかかった。バッグに荷物を押し込んでいるときに気づいた「あ、俺のテントがない!」。木製バルコニーの手すりと窓ガラスの間に丸めたまま挟んで置いていたのに。どうやら誰かが気付かずに窓を開け屋根を転がり、下に落ちていったらしい。「やばい、下は川だ!」僕は宿の下駄をつっかけて川沿いを下流まで探しに行った。けっこう水量もあり、流されたとしたらどこにも引っかからずに下流まで流されていったに違いない。宿の人に聞いても道や川に落ちているものに心当たりないらしい。さんざん探したが結局見つからなかったのでとうとう諦めて宿の朝飯を食べてから出発することにした。今夜はテント無しか、誰かのテントに一緒に入れてもらうしかないな、トホホ。

食後、最後にもう一度荷物の確認をしようと階段を上がろうとしたとき、宿の旦那さんに呼び止められた。上流のお店の前の電柱に拾い物らしい何かが引っかけてぶら下げられているらしいとのこと。「何故上流に?」余り信用できそうな話じゃないけど万に一つの可能性にかけて行ってみた。確かにそれはあった、電柱の陰に隠れるようにして。灰色のずぶ濡れの物体。紛れもない僕のテント。何故こんなところに?誰かが拾っててくれた?
旦那さんによるとぶら下がっているものを見つけた人が「バイクで来ている人達が落としていったののじゃないか」ということで連絡してくれたとのこと。どうも「九州からバイクの人達が来ている」ということで宿中に知れ渡っていたようだ。まあ、何にしても良かった良かった。
僕らが宿の前で荷物をまとめていると通りすぎる宿泊客たちに声をかけられる。「九州から来たのか?」「何日かかった?」「これからどこ行く?」「息子もこんなの乗っている」そんな言葉をかけられることが多いが、当然いつもの「これ何cc?」「何km出る?」「いくらする?」という質問もされる(苦笑)。しかし気分のいい僕は笑顔で言葉を交す。やっぱり旅先で声をかけてもらうのは素直に嬉しい。
パッキングを終えた僕らは人の良さそうな旦那さんと笑顔の優しい女将さんに挨拶して宿を後にした。いろいろあったけど、ホントにいい温泉街だった。
少し肌寒く感じる朝の風の中を走り始める。振り向くと雲が銀山温泉のある山にかかって来ている。しかし僕らの向かう北の方角の空は明るい。気持も明るくなってくる。

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